もしものときの最終手段、アフターピルについて知っておこう
アフターピルとは
アフターピルは、避妊に失敗した時に使う薬です。
緊急避妊薬とも言います。
避妊の成功率は57%~99%です(服用する薬の種類や性交後の経過時間による)。
どのアフターピルも、服用は早い方が成功率が上がります。
そのため薬が今必要な方は、今すぐ婦人科へ行ってください。
不測の事態が起きた時に望まない妊娠を防ぐためにも、アフターピルのことはきちんと知っておきましょう。
アフターピルと低用量ピルの違い
アフターピルと低用量ピルは、以下の点に違いがあります。
1.効果の高さ
アフターピル<低用量ピル
アフターピルは57%~99%の避妊成功率です。
対して低用量ピルは正しい服用で避妊成功率がほぼ100%にまでのぼります。
2.身体への負担
アフターピル>低用量ピル
アフターピルは身体に急激な変化を起こすため、身体への負担がかかります。
対して低用量ピルは毎日の服用で時間をかけてホルモンのリズムを作るため、少ない負担です。
3.飲み方
アフターピルは多くの場合、性交後72時間以内に1回分を飲みます。
対して低用量ピルは毎日同じ時間に1錠飲みます。
アフターピルは避妊のためだけの薬なのに対し、低用量ピルは生理不順や生理痛の改善も可能です。
「緊急時の最終手段」がアフターピルで、「毎日のホルモン調整剤」が低用量ピルと覚えておきましょう。
アフターピルには2種類ある
アフターピルには、「ヤッペ法」と「レボノルゲストレル」の2種類があります。
最近使われているのは、ほとんどの場合レボノルゲストレルです。
それぞれの特徴をご説明します。
ヤッペ法
ヤッペ法は、中用量ピル(プラノバール)を使った緊急避妊法です。
中用量ピルは本来、月経不順や月経困難症の治療に使われる薬です。
ヤッペ法では中用量ピルの中でも、「プラノバール」を使います。
具体的には、性交後72時間以内にプラノバールを2錠飲んだ後、12時間後に追加で2錠飲みます。
妊娠阻止率は57%です。
(妊娠阻止率=妊娠しやすい危険日周辺で避妊できる確率)
取り入れる有効成分の量が多いため、身体への負担が大きいのが特徴です。
副作用として、吐き気や嘔吐が特に多く出現します。
効果が低い上に負担も大きいため、現在は医師もすすめていません。
価格は平均4300円前後と、レボノルゲストレルの半額ほどで処方されます。
レボノルゲストレル
レボノルゲストレルは、現在広く使われているアフターピル(ノルレボなど)の有効成分です。
レボノルゲストレルで作られた錠剤を、性交後72時間以内に1回分飲むことで避妊します。
妊娠阻止率は81%です。
(妊娠阻止率=妊娠しやすい危険日周辺で避妊できる確率)
主な副作用は性器からの出血や吐き気などですが、ヤッぺ法よりは軽く抑えられています。
身体への負担が少ないだけでなく、ヤッペ法より高い避妊効果が得られるため、現在のアフターピルはレボノルゲストレルが主流です。
価格は平均9900円前後とヤッペ法よりは高価ですが、安全性や効果の面からレボノルゲストレルが選ばれています。
アフターピルの効果
アフターピルには緊急避妊の効果があります。
「排卵させない・侵入させない・着床させない」を低用量ピルより強い力でおこない、避妊するしくみです。
服用が早ければ早いほど確かな効果があります。
例:レボノルゲストレルで作られたアフターピル
12時間以内の服用で99.5%の避妊成功率
61~72時間以内の服用で95.9%の避妊成功率
現在、アフターピルの避妊のしくみははっきりしていません。
しかし、主に以下の3つの作用によるものと言われています。
1.排卵させない
排卵を抑制したり遅らせたりすることで、受精を防ぐ
2.侵入させない
子宮頚管(しきゅうけいかん)の粘液を変化させて精子に侵入させないことで、受精を防ぐ
(子宮頚管=子宮の入り口で、精子の通り道)
3.着床させない
子宮内膜の増殖を抑えて受精卵に着床させないことで、妊娠成立を防ぐ
上記の3つを強制的に行うことで、効果を発揮するのがアフターピルです。
※アフターピルは、性交のたびに使えるものではありません。
身体に大きな負担がかかってしまいます。
アフターピルの注意点
アフターピルにはいくつか注意点があります。
自分の身体が強い作用に負けないことを確認してから、安全に使いましょう。
併用禁忌
ヤッペ法で使用するプラノバール錠には併用禁忌薬があります。
併用禁忌薬は、一緒に使ってしまうと強い副作用などで身体に負担をかける薬です。
具体的には以下のものがあります。
オムビタスビル水和物
パリタプレビル水和物
リトナビル
これらを含む代表的な薬は、「ヴィキラックス」です。
ヴィキラックスはC型慢性肝炎の治療に使われます。
一緒に使うと血液の数値に異常が出る場合があります。
肝炎の治療中の際は、必ず婦人科の医師に相談しましょう。
併用注意
併用注意薬は、一緒に使うとお互いの効果を弱めるなどの影響があるため、慎重に使う必要があります。
ヤッペ法で使用するプラノバール錠と、現在主流のレボノルゲストレルでは内容が少し違うので確認しましょう。
ヤッペ法・レボノルゲストレル共通の併用注意
・フェノバルビタール
・フェニトイン
・カルバマゼピン
・HIVプロテアーゼ阻害剤
・非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤
・リファンピシン
・セイヨウオトギリソウ
など
ヤッペ法の併用注意
・副腎皮質ホルモン
・三環系抗うつ剤
・セレギリン塩酸塩
・テトラサイクリン系抗生物質
・ペニシリン系抗生物質
・血糖降下剤
・ラモトリギン
・アセトアミノフェン
など
レボノルゲストレルの併用注意
・プリミドン
・リファブチン
など
通院中の場合は担当の医師や看護師に必ず相談しましょう。
その他
その他、アフターピルを使ってはいけないケースや注意が必要なケースがあります。
〇ヤッペ法
使ってはいけないケース
・血栓症静脈炎、肺塞栓症になったことがある
・乳がん、子宮内膜がん
・重い肝障害
・妊娠中に黄だんや持続性そう痒症、妊娠ヘルペスだった
・妊娠中に耳硬化症だった
・鎌状赤血球貧血
・デュビン・ジョンソン症候群、ローター症候群
・脂質代謝異常がある
・妊娠中または妊娠中の可能性がある
・原因不明の異常出血がある
注意が必要なケース
・子宮筋腫
・乳がんになったことがある
・心疾患になったことがある
・てんかん
・糖尿病
・40歳以上
・身長が伸びている
・高血圧
・妊婦、授乳婦
・血管、腎臓、肝臓等の臓器に異常がある
など
〇レボノルゲストレル
使ってはいけないケース
・レボノルゲストレルに過敏である
・重い肝障害がある
・妊婦
注意が必要なケース
・肝臓、心臓、腎臓に疾患があるまたはあった
・授乳婦(服用後は24時間授乳を避ける)
しっかりと確認してから使いましょう。
アフターピルの入手方法
アフターピルの入手方法は病院か通販(個人輸入)の2種類があります。
ただ、通販はどうしても届くまでに時間がかかります。
そのため今必要な人は、今すぐ病院へ行ってください。
それでは、入手方法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
病院処方
病院処方の特徴は、医師と直接やりとりできるところです。
こんなメリットとデメリットがあります。
メリット
・安全に使えるか医師に診てもらえる
・身近な人に相談しづらいことを相談できる
・薬がすぐに使える
デメリット
・やりとりする必要がある
・高い
避妊に失敗した後は、冷静な判断が難しい場合があります。
そんな時に「冷静な他人」の立ち位置で医師に診てもらえるのが大きな利点です。
また、性交後の避妊は一刻を争うため、今手元にアフターピルがない人は病院一択です。
ただ、かなりデリケートな話になるため、やりとりしたくない人にはハードルが高いかもしれません。
さらに、日本のアフターピルは海外に比べて高価格です。
大体、1錠で10,000円前後します。
「もう少し安ければ入手しやすいのに」という人もいるでしょう。
それでもスピードと安心感を重視する人には、病院処方をおすすめします。
通販(個人輸入)
「個人輸入」とは、海外製品をメーカーなどから直接入手することです。
購入できるのは自分で使用する分のみのため、人にあげてはいけません。
通販の特徴は、すべて自己判断なところです。
こんなメリットとデメリットがあります。
メリット
・誰ともやりとりしなくて良い
・いつでもどこでも注文できる
・安い
デメリット
・すぐに届かない
・すべて自己判断
婦人科は、なかなか行きづらいものです。
周囲の目が気になってしまうこともあるでしょう。
その点通販では、画面と自分のやりとりだけで注文が完了します。
緊急でない場合は冷静な判断ができるため、通販でも問題なく入手できます。
そして何より、通販は安いのが大きな特徴です。
病院処方だと10,000円前後だったものも、通販だと3,000円前後で済みます。
しかし安いと気になるのは安全性です。
ここで、安全なサイトをご紹介します。
「お薬なび」です。
お薬なびは2009年に開設された、個人輸入を代行するサイトです。
利用者は100万人を超えています。
その分たくさんの、正直な口コミが投稿されています。
また、不確かな情報は記載していないことも安心できる部分です。
品ぞろえも多く、利用者が多いのも納得できます。
お薬なびは、安全です。
もしものために1つ持っておきたいという人には、通販がおすすめです。
アフターピルの種類
アフターピルは、たくさんの種類があります。
今回はその中から、以下の4種類をご紹介します。
・ノルレボ
・アイピル
・ナイピル
・エラ
使いやすそうなものを選びましょう。
ノルレボ
ノルレボは、日本で初めてアフターピルとして承認された薬です。
以下のような特徴があります。
メーカー:あすか製薬(日本)、HRAファーマ(フランス)
有効成分:レボノルゲストレル
病院価格:平均13,000円前後
通販価格:平均3,300円前後(送料1,000円前後)
ノルレボは日本で1番メジャーなアフターピルです。
性交後72時間以内に1回分を服用します。
2011年に、日本で初めてノルレボが発売されました。
当初は1回2錠タイプでしたが、2016年には1回1錠タイプが発売されています。
それまでアフターピルはヤッペ法が主流でしたが、ノルレボの使いやすさから今ではすっかり使われなくなりました。
日本製のノルレボはあすか製薬、通販で購入する海外製のノルレボはフランスのHRAファーマが作っています。
アイピル
アイピルは、ノルレボのジェネリック薬品です。
ジェネリック薬品とは、最初にできた薬と同じ成分・同じ分量で作られた薬で、最初の薬より安く入手できます。
以下詳細です。
メーカー:ピラマルヘルスケア(インド)
有効成分:レボノルゲストレル
通販価格:平均1,870円前後(送料1,000円前後)
ピンク色の錠剤1錠を、性交後72時間以内に服用することで、避妊します。
基本的に通販のみの取り扱いです。
ナイピル
ナイピルは、ノルレボと同じ成分が配合されたアフターピルです。
1回1錠の服用は他と変わりませんが、1箱に4錠入っています。
以下詳細です。
メーカー:レクメズ(インド)
有効成分:レボノルゲストレル
通販価格:平均2,980円前後(送料1,000円前後)
ピンク色の錠剤を1錠、性交後72時間以内に服用します。
4錠入っているので、使用期限に特に注意して使いましょう。
基本的に通販のみの取り扱いです。
エラ
エラは、他のアフターピルよりも高い避妊効果を持った薬です。
以下のような特徴があります。
メーカー:アブディイブラヒム(トルコ)
有効成分:ウリプリスタール酢酸エステル
病院価格:平均11,800円前後
通販価格:平均4,950円前後(送料1,000円前後)
エラは日本ではよく子宮筋腫の治療のために病院で処方されます。
有効成分であるウリプリスタール酢酸エステルの作用で、高い避妊効果が得られる薬です。
服用量は1回1錠です。
他のアフターピルより効果の持続性があり、性交後120時間(5日間)まで使えます。